私たちは生きていると、思い通りにならないことや苦しい状況に直面することがあります。
「なぜこんなことが自分に起こるのか?」と嘆きたくなることもあるでしょう。
そんな時に思い出したいのが、心理学者であり精神科医でもあるヴィクトール・フランクルの言葉です。
彼はナチスの強制収容所という極限状態の中で、人間が持つ“最後の自由”について語りました。
フランクルはこう言います。
「人間に残された最後の自由とは、自分の置かれた状況に対してどんな態度を取るかを選ぶ自由である。」
彼は全てを奪われた状況の中でも、希望を見出し、生きる意味を見つけることができると信じていました。
『夜と霧』から学ぶ、極限状況での希望
フランクルは、自身の壮絶な経験を記した著書『夜と霧』の中で、強制収容所における人々の心の変化を描いています。
極限状態の中で、生きる希望を失った人と、それでもなお心の自由を保ち続けた人。
その違いを分けたのは、どんな状況にあっても「生きる意味を見出す力」でした。
彼は、仲間たちが飢えや暴力に苦しむ中でも、誰かを励まし続けた人や、美しい夕日を見て涙した瞬間を語っています。
物理的には自由を奪われても、心まで囚われる必要はない——そのメッセージが、『夜と霧』には込められています。
ネガティブな状況の中で「意味」を見つける
フランクルは、どんなに過酷な状況でも、それをどう捉えるかによって心の在り方が変わると述べています。
ネガティブな状況に陥ったとき、私たちができることは以下の3つです。
1. 「この状況の中にどんな意味があるか?」と問いかける
つらい経験も、後になって振り返ると「この出来事があったからこそ、今の自分がいる」と思えることがあります。
例えば、仕事で挫折したことで新しい道を見つけたり、人間関係の苦しみが本当に大切な人を知るきっかけになったりします。
2. 「変えられないもの」と「変えられるもの」を分ける
フランクルは、状況そのものを変えられなくても、それに対する「態度」は選べると言いました。
現実が厳しくても、自分の心の持ち方を変えることで前向きな選択ができるのです。
3. 小さな「感謝できること」を探す
フランクルは、収容所で苦しみながらも、美しい夕日を見て涙したと言います。その瞬間、彼は愛する母のことを思い出し、たとえ距離が離れていても愛は決して失われないと感じました。
どんなに厳しい状況でも、小さな光を見つけることは可能です。
今日も温かい食事ができたこと、誰かが優しい言葉をかけてくれたこと、深呼吸できる時間があること。
それらに気づくことで、少しずつ心の余裕が生まれます。
まとめ
ネガティブな状況は誰にでも訪れます。
でも、その状況の中で「何を学び、どう生きるか」を選ぶ自由は、常に私たちの手の中にあります。
もし今、つらい状況にいるのなら、ぜひこの3つの視点を試してみてください。
あなたの中にある“最後の自由”を思い出すことで、きっと新しい光が見えてくるはずです。
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